じいちゃんの姉ちゃんが亡くなった話

父方のじいちゃんの姉ちゃんが亡くなり、葬式に行く。

その姉ちゃんはおれからすると顔も思い出せんレベルの関係性なんやけど、じいちゃん寂しいやろな、と思ったから予定調整して行った。

行ってよかった。

姉ちゃんは天理教やったらしく、亡くなった人に向けて、短冊みたいな紙にメッセージを書いて供養するようで。横に座ってるじいちゃんは、しばらく考えてからこう書いた。

「姉上様、未子の吾郎です。可愛がてくれて有難う。」

 

 

 

「吾郎」という名前は五番目に生まれたことが由来だ。長男は戦死。長女、次男はすでに亡くなっていて、今回は唯一生きていた兄弟姉妹の次女が亡くなった。葬儀の合間に「どんな姉ちゃんやったん?」とじいちゃんに聞くと「優しい人やった」と答えた。

じいちゃんの親父、おれからするとひいじいちゃんは戦中に製本業を大阪の港区で創業した。創業から5年が経ち、会社が軌道に乗りはじめたときに、ひいじいちゃんは亡くなった。そのときじいちゃんはまだ小っちゃかったから、ひいじいちゃんの顔を覚えてないらしい。

残されたひいばあちゃんは戦中に女手一つで5人兄弟を育てた。だからものすごく貧しかったらしい。お金がなければ学校にも行けない時代、当然お金のないじいちゃんは行くことが出来ず、最終学歴は小学校だそう。

それでもがんばって勉強して、大人になってからひいじいちゃんと同じく製版業を創業するんやけど、そこに至るまで、じいちゃんの姉ちゃんはほんまに優しかったんやろうと想像する。

女手一つで5人兄弟。お金もなにもない中でそんなもん現代では考えられへんやろ。きっとお母さんを助けるために家事もいっぱいしてたやろし、末っ子であるじいちゃんの面倒もよく見てたんやろなぁ。そんな姉ちゃんを「優しかった」と表現したことに対してなんとなく想像がつく。

そんなことを想像してると、今度はじいちゃんの姉ちゃんと話しておけばよかったと思った。じいちゃんが子供の頃の話。どんな出来事があって、なにを感じたのかを。

じいちゃんがおらな、いまのおれはないけども、じいちゃんの姉ちゃんがおらんでも、やっぱりいまのおれはおらんわけで、そういう命と人のつながりを考えていくとさ、葬式に来たのはじいちゃんのためではあるんやけど、顔もわからんレベルの関係性ではあるものの、自然とありがとうと感謝してる自分がいた。

だからおれは短冊の紙にこう書いた。

「おばあちゃん。おじいちゃんのお姉ちゃんでありがとう。」

 

 

 

じいちゃん、いつもばあちゃんにビール止められてるんやけど、今日もも止められて「なんでやねん、ほっとけ!」と珍しく言葉を荒立ててた。そりゃ言葉は少ないけどいろんな過去の出来事が思い出されてたことやろしな。とにかく、最後の最後まで寂しそうやった。

お骨が拾われるのをじっと見つめる横顔。
丁寧に丁寧に、何度も何度も遺影に手を合わせる姿。

じいちゃんがなにを感じ、なにを考えてたのかはわからんけど、とにかく別れを惜しんでることはよくわかった。

じいちゃんは昔からいっつも笑ってる。怒ってるとこなんか一回も見たことない。今日の立ち振る舞いを見てふと思ったんや。じいちゃんがいっつも笑ってるのは、きっといっぱい辛い経験をして、それから逃げずに乗り越えてきたからなんやろなーと。

ひいじいちゃんは30歳で製本業を創業。
じいちゃんは32歳で製版業を創業。
おとんは31歳でマーケティング会社を創業。
そしておれも30歳で、創業。

受け継がれる血に「商売人」みたいな成分は入ってないと思うんやけど、並べてみるとなにかしら受け継いでいるものがある気もしないでもない。

ひとつ確信してるのは、おれは歴代の中でも一番欲張りってことで。自分の幸せなんかは大前提。その上で家族や仲間、大切な友達や、あるいは仕事で関わる人たちのいい人生をつくりたいと本気で願ってる。

それがすごく自然体で、無理なく願えてるいまがすごく幸せ。すべての出会いと出来事に感謝してる。当たり前なことなんて人生にたった一つもない。

おれは30歳。この歳までじいちゃんばあちゃんが全員元気で生きてくれていること。ほんまにありがたい。命ってのはこうやって紡がれていくのだろう。

おれがじいちゃんの人生に思いを馳せるように、いつか産まれてくるであろうおれの孫が、おれの人生にも興味を持ってくれると嬉しいなと思う。

ばあちゃんとはどこで出会ったの?
なんで会社しようと思ったの?
ぼくのひいじいちゃんはどんな人だったの?

そんなことを孫が聞いてくれるようなことがあれば、それはじいちゃん冥利に尽きるやろなあ。なにかを変えることはないけど、引き続き、大切なものだけを大切にする人生を生きて、孫にも誇れるかっこいいじいちゃんになろうと思う。

じいちゃん、生きろ!

2025/09/19

POLO

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大切なものに愛情を注げる人に来て欲しい。
私たちはやりたいことだけやってる会社だけど
その行く先には必ず身近で大切な人の存在がいて
誰かの役に立ちたいといつも願ってるから。

そういう感覚が当たり前のひとに来て欲しい
何をやるかと誰とやるかはどちらも大切だから
仲間にするなら愛のあるひとがいい。

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